今月のカクテル
2025年、どりぷら会員が最も検索したカクテルTOP20

検索データから読み解く、いまバーテンダーが気になっている一杯

DRINK PLANETに掲載されている2,000を超えるカクテルの中から、2025年にどりぷら会員が最も検索したカクテルTOP20を集計しました。（集計期間：2025年1月1日〜12月24日）。

このランキングは、単なる「人気投票」ではありません。
現場で使えるかどうか、再現できるか、意味を持って語れるか ――
プロフェッショナルの方々の思いや考え、関心が検索行動としてそのまま表れた結果でしょう。

*トップ画像　左から1位：Bloody Mary (Bar Nouveau ), 2位：Ramos (Bar Nouveau ), 3位：Bloody Mary (The Jerry Thomas Bar Room)

1位｜Bloody Mary ブラッディメアリー
Drink More Art／ドリンク・モア・アート Bar Nouveau,Paris
2025年、最も検索されたカクテルはブラッディメアリーでした。
しかもTOP3のうち、2杯がブラッディメアリーという結果です。
赤ワインをフロートし、自家製スパイスミックスで奥行きを与えたこのカクテルは、従来の「ブランチカクテル」という枠を超え、料理的発想で再構築されたセイヴォリーカクテルとして強い関心を集めました。

2位｜Ramos ラモス
Drink More Art／ドリンク・モア・アート Bar Nouveau,Paris
クラシックの象徴とも言えるラモス ジンフィズが2位にランクインしました。
ジャスミンの香りやスモーキーなニュアンス、そしてスプーンを添える提供スタイル。
ここで注目すべきは、技術を誇示するラモスではなく、体験として再解釈されたラモスである点です。
クラシックを軽やかに現代化する姿勢が、検索という形で支持されました。

3位｜Bloody Mary ブラッディメリー
Gregory Camillò グレゴリー・カミーロ The Jerry Thomas Bar Room, Roma
トマトペーストを主軸に、水を一切使わず構成された一杯です。
南イタリアの素材、リコリス、唐辛子が加わり、ブラッディメアリーを完全に料理へと昇華させています。
1位とはアプローチが異なりながらも、「トマト」「セイヴォリー」「なぜこの一杯なのかを語れること」という共通項が、2025年の検索上位を象徴しています。

上段左から　4位：Homemade Macha Liquor with Green Tea (BAR BARNS ), 5位：MATCHA YUZU (Handshake Speakeasy), 6位：EARL GREY (Handshake Speakeasy), 7位：Highbonic (Bar K-9), 下段左から　8位：Red Hot Chili Coffee (Grace Note ), 9位：Caprese (Handshake Speakeasy), 10位：Pisco Punch (Bar Super Nova)

4〜10位｜広がるテーマと再解釈

4位から10位に目を向けると、2025年の検索トレンドがより立体的に見えてきます。
抹茶や紅茶、トマト、コーヒーといった素材を、単なるフレーバーではなく意味のある構成要素として扱うカクテルが並びました。
海外のトップバーで生まれた一杯を、日本的感覚で読み替えたもの、あるいはクラシックをベースに、現代的な構造へと組み替えたものも。
ここで検索されているのは、奇抜さではなく「説明できる個性」といえるでしょう。

4位｜Homemade Macha Liquor with Green Tea 自家製抹茶リキュールの緑茶割り
by Hirai Toru／平井杜居さん BAR BARNS, 名古屋

5位｜MATCHA YUZU マッチャ・ユズ
by Eric van Beek／エリック・ヴァン・ビークさんさん Handshake Speakeasy, Mexico City

6位｜EARL GREY アールグレイ
by Eric van Beek／エリック・ヴァン・ビークさんさん Handshake Speakeasy, Mexico City

7位｜Highbonic ハイボニック
by Goto Keisuke／後藤啓輔さん Bar K-9, 名古屋

8位｜Red Hot Chili Coffee（Not Peppers）レッドホットチリコーヒー
by Yamasaki Hajimd／山﨑創世さん Grace Note, 京都

9位｜Caprese カプレーゼ
by Eric van Beek／エリック・ヴァン・ビークさんさん Handshake Speakeasy, Mexico City

10位｜ Pisco Punch ピスコパンチ
by Ishii Yutaka／石井豊さん Bar Super Nova, 横浜

上段左から　11位： Pisco Sour of the Sun (BAR CROSSING ), 12位： Carnival (BKK Social Club), 13位： Espresso Martini (KARUDA), 14位： Illumination (Grace Note), 15位： Tom & Jerry (Chocolaterie & Bar ROND-POINT ), 下段左から　16位：Wine Of Citrus Heart (Zentis Osaka UPSTAIRZ), 17位： Matcha Grasshopper (The Bar Top Note Ⅲ), 18位：Over Espresso Martini (Bar K-9), 19位：Matcha Whisky Sour (Bar Alegre), 10位：Alexander (Chocolaterie & Bar ROND-POINT)

11位から20位には、Tom & Jerry、Espresso Martini、Grasshopper、Alexanderなど、クラシックの名作やその進化形が並びます。
注目すべきは、レシピそのもの以上に、仕込みや構造を知りたいという関心が強く表れている点です。
卵の扱い、チョコレートや抹茶の表現、テクスチャー設計。
「どう作るか」「なぜそうするか」を確認するための検索は、インスピレーションを得るための行為であると同時に、現場に持ち帰るための準備でもあります。

11〜15位｜クラシック回帰と仕込みへの関心

11位｜Pisco Sour of the Sun 太陽のピスコサワー
by Murakami Yuki／村上雄基さん BAR CROSSING, 東京

12位｜Carnival カーニバル
by Philip Bischoff／フィリップ・ビスコフさん BKK Social Club, Bangkok

13位｜Espresso Martini エスプレッソマティーニ
by Yamamoto Ashu／山本亜周さん KARUDA, 大阪

14位｜ Illumination イルミネーション
by Yamasaki Hajimd／山﨑創世さん Grace Note, 京都

15位｜Tom & Jerry トム・アンド・ジェリー
by Tanakamaru Hirofumi ／田中丸博文さんChocolaterie & Bar ROND-POINT, 東京

16〜20位｜自分のバーに落とし込むための一杯

16位｜ Wine Of Citrus Heart ワイン・オブ・シトラスハート
by Furuse Norihiko／古瀬則彦さん Zentis Osaka UPSTAIRZ,大阪

17位｜Matcha Grasshopper 抹茶のグラスホッパー
by Noma Shingo／野間真吾さんThe Bar Top Note Ⅲ, 広島

18位｜ Over Espresso Martini オーバー・エスプレッソマティーニ
by Goto Keisuke／後藤啓輔さん Bar K-9, 名古屋

19位｜ Matcha Whisky Sour 抹茶ウイスキーサワー
by Kojima Osamu／小嶋修さん Bar Alegre, 広島

20位｜ Alexander アレキサンダー
by Tanakamaru Hirofumi／田中丸博文さん Chocolaterie & Bar ROND-POINT, 東京

2025年、どりぷら会員が検索していたのは、「流行っているカクテル」ではなく、理由を持って提供できる一杯でした。
セイヴォリー、茶、コーヒー、クラシック・・・。
これらは一過性のトレンドではなく、現場で何度も試され、語られてきたテーマです。
このTOP20は、2025年の結果であると同時に、2026年へ向かうヒント集とも言えるでしょう。

＜＜前の記事へ　｜