
SPECIAL FEATURE特別取材
Monin Cup World Final 2012 in Paris
アジア代表、本郷みゆきさんが準優勝!
#Special Feature
シロップ、ピューレ、リキュールをはじめ、多彩なラインナップでバー業界・飲食業界を支えてきた、モナン。
2012年に創業100周年を祝うこの老舗ブランドが、ヨーロッパと中東諸国、そしてアジアのバーテンダーを対象にした世界大会「Monin Cup World Final」を開催した。
会場はパリ、モンパルナスタワーの最上階!
Monin Cup World Final自体は去年に引き続き2度目の開催だが、アジア勢の参加は今回が初めてとなる。
その輝くべきアジア初の代表者が、日本人バーテンダーの本郷みゆきさん(北海道・Bar竹内)だ。
第1ラウンドで披露された27のオリジナルカクテル。
では、Monin Cup World Finalの流れをざっと説明しよう。
まず第1ラウンド(セミファイナル)が行われ、世界27都市から集まったバーテンダーが、モナンの製品を使用したオリジナルカクテルを作成する。
パフォーマンスの後には、作成したカクテルの説明を英語で行わなくてはならない。
これをテクニカルジャッジ3名、テイスティングジャッジ6名が審査し、5名に絞り込む。
続く第2ラウンドが本決勝(グランドファイナル)となる。
内容はいわゆるブラックボックス方式で、パフォーマンスの直前までルールもテーマも明かされない。
アジア予選に当たるMonin cup Asia Pacific Final 2012を勝ち抜いた本郷さんは、この第2ラウンドから参戦。
つまりグランドファイナルは、6名のバーテンダーが競い合うことになる。
派手な音楽とともに、第1ラウンドがスタート!
各3名ずつがステージに上り、MCの合図と同時にパフォーマンスを開始。持ち時間はわずか5分だ。
時間内に4杯のオリジナルカクテルを完成させなければならないのだが、制限時間をオーバーしてしまうバーテンダーが各組に必ず1名はいた。
これは大きな減点対象となった。
その結果、予選を勝ち抜いたのはリトアニア、ハンガリー、エストニア、ドイツ、スイスの代表者。
グランドファイナルのパフォーマンス前、即興でオリジナルのレシピを検討するファイナリストたち。
さあいよいよ、本郷さんを加えてのグランドファイナルが幕を開ける。
気になるテーマは「ノンアルコールカクテル」!
バックステージには、モナンのシロップとフルーツミックスの他、牛乳、クリーム、フルーツ各種、野菜各種、ジュース、ハーブなどの材料が用意されている。
この与えられた材料だけを使って、即興でオリジナルのノンアルコールカクテルを創作する、というわけ。準備に与えられた時間は、わずか30分。
カクテルの名前を考え、レシピを提出することも、この30分の間に行わなければならない。
グランドファイナルも第1ラウンド同様、3名ずつのパフォーマンスとなる。
2巡目に登場した本郷さんは、やや緊張した面持ちでステージに上がるも、スタートが合図されるやいなや、会場全体を魅了する最高の笑顔!
パフォーマンスも流れるように滑らか。しかもわずか5分30秒でフィニッシュし、他の参戦者を大きく引き離した。
優秀なバーテンダーとしてのアピールは上々、結果発表に期待が高まる……。
「モナン フルーツミックス ピーチ」をベースにした、本郷みゆきさん作「RENCONTER(ランコントリー)」。フランス語で「出会い」の意味。
いよいよ結果発表!
Monin Cup World Final 2012の覇者は、エストニア代表の女性バーテンダー、マヤ・イリナさん!
「オアシス」と名付けられたカクテルは、「モナン ストロベリー フルーツミックス」と「モナン パッションフルーツ ミックス」をベースに、フレッシュバジル、マルチビタミンジュースをシェイクし、これをペリエで割った爽やかな1杯だった。
「コンペティションに挑戦すること自体が、私の7年間のバーテンダー人生で2回目。まさか優勝できるなんて……。応援してくれた同僚たちに感謝したい。彼らのサポートなしでは、今回の優勝はありえません」と感動を表した。
そして我らが本郷みゆきさんは、堂々の第2位!
大健闘と言える結果だが、本人にとっては実力を発揮できず涙を流すことに。
「はじまったと思ったら終了していました。なにがどうなっていたのか、まったく覚えていません。ただ実力を出し切れず、後悔だけが残っています。Monin Cup World Finalは今後2年に1度開催されるそうなので、次回もチャンスがあれば挑戦したいと思います」
涙をのんだとはいえ、世界の檜舞台での本郷さんの活躍に、心から大きな拍手をおくりたい。
ちなみに本郷さんへの会場の反応は優勝者を上回るもので、パフォーマンスに関してもカクテルの味わいに対しても「すばらしい」との声が数多く取材陣のもとへ届いた。
第3位はリトアニア代表の、タダス・ダヴェルヴィッツさん。上位3位入賞を果たした、唯一の男性バーテンダーとなった。
ファイナリストは以下の通り。
★優勝
Maia Iljina, Estonia(Olympic Casino)
★第2位
Miyuki Hongo, Japan(Bar Takeuchi)
★第3位
Tadas Dvarvytis, Lithuania(Radisson Blu Hotel Lietuva/Skybar)
★ファイナリスト
Istavan Ludanyi,Hungary(Mojito Bartender School)
Martin Kramer, Germany(Bar&Café Bitttersuess)
Manuel Schlüssler, Switzerland(KKL Seebar)
写真左上が優勝者のマヤ・イリナさん。右下がモナン社社長のオリヴィエ・モナン氏、本郷みゆきさん、第3位のタダス・ダヴェルヴィッツさん。
女性陣の活躍が際立ったMonin Cup World Final 2012。
実に決勝進出した28名のうち、7名が女性バーテンダーだった。
モナン社社長のオリヴィエ・モナン氏は、こうコメントをくれた。
「女性バーテンダーの活躍からもわかるように、カクテルの世界は大きく発展し、ニーズが多様化しています。これに加え、飲酒運転のコントロールが厳しくなっていること、飲酒を禁ずる国々からもお客さまがみえるようになったことなど、バーシーンの“今”を反映し、グランドファイナルのテーマをノンアルコールカクテルにしました。アルコールを使わずにカクテルとして完成させ、お客さまを満足させるには、バーテンダーの力量とセンスが大きく問われます。難しいテーマでしたが、バーテンダーの皆さんは素晴らしいクリエイティビティを発揮してくれました」
またジャッジとして参加したIBA世界チャンピオンの山田高史氏(神奈川・横浜・Bar Noble)も、今大会の印象を率直に語ってくれた。
「第1ラウンドの審査を行い、全27種類のカクテルを味わってみて、日本と世界との距離が確実に縮まったことを痛感しました。日本人にとって即興力とスピーチ力が問われる今大会は特別な難しさがありますが、今回ジャッジを勤めたことで、日本人バーテンダーの今後の活躍がますます楽しみになりました」
Monin Cupの出場資格は、27歳以下の若手バーテンダー。
2年後に出現する若き才能に、どりぷらとしても大いに期待したい。
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