「フロール・デ・カーニャ サスティナブル・カクテル・チャレンジ2024」
優勝は大島創さん(Gold Bar at EDITION / 東京)!

SPECIAL FEATURE特別取材

「フロール・デ・カーニャ サスティナブル・カクテル・チャレンジ2024」
優勝は大島創さん(Gold Bar at EDITION / 東京)!
[vol.01] - ファイナリスト10名が熱戦を繰り広げたコンペをレポート。

#Special Feature

ニカラグア発のプレミアムラム、「フロール・デ・カーニャ」が主催する「フロール・デ・カーニャ サスティナブル・カクテル・チャレンジ2024」。
世界40ヶ国以上のバーテンダーが参加するこのコンペの、アジア太平洋大会への出場権を賭けた日本大会が行われました。
ファイナリスト10名による大会の模様をお届けしましょう。

10名のファイナリストと審査員のみなさん。

10名のファイナリストと審査員のみなさん。

年々、規模が大きくなり、バーテンダーからの注目も高まっている「フロール・デ・カーニャ サスティナブル・カクテル・チャレンジ」。

カクテルの味わいやクリエイティビティだけでなく、フードロスやエシカルな食材の調達など、カクテルメイキングにおけるサスティナビリティをも審査対象とする、ユニークなコンセプトが特徴です。

ニカラグアで行われるグローバルファイナルに出場するためには世界6地域(アジア太平洋、北米、中米、南米、カリブ諸島、ヨーロッパ)それぞれの大会で、上位3位以内という成績を収めなくてはなりません。

今回の日本大会は、アジア太平洋大会に出場する代表1名を決める選考会で、渋谷の「or MIYASHITA PARK」で行われた日本大会には、一次審査を通過したファイナリスト10名が出場しました。

ファイナリスト10名はこちら!

大島創さん(Gold Bar at EDITION / 東京)
古口舞人さん (Bar&Kitchen Changing moods / 東京)
櫻井大貴さん (Cocktail Bar Raven / 東京)
菅原翔さん(BAR EMIT / 神奈川)
高橋大地さん (APOTHECA / 京都)
田中知輝さん(THE SAILING BAR / 奈良)
戸塚信弥さん (THE KAHALA LOUNGE / 神奈川)
西野真司さん(Full Brix / 神奈川)
廣瀬智之さん(KITCHEN BAR ROBROY / 千葉)
堀口楓太さん (SALONE VENDREDI / 東京)

優勝した大島さんのパフォーマンス。

優勝した大島さんのパフォーマンス。

ジャッジを務めるのは、日本ラム協会会長の海老沢忍さん、フードロス削減・地産地消など環境になるべく負荷をかけないカクテルの提供に取り組む「BAR芦屋日記」オーナーバーテンダーの草野智和さん、インフルエンサーでYouTuber、「お酒とYotoの物語」のYotoさん、昨年の同大会の覇者で、ニカラグアで行われたグローバルファイナルにも出場を果たした安里勇哉さん(Bar Prima / 神奈川)の4名です。

それではさっそく、大会の様子をお伝えしましょう。

プレゼンテーションでは制限時間7分以内に4杯のカクテルを作り、それぞれのカクテルのストーリーやコンセプト、サスティナブルのポイントなどを魅力的に伝えます。

審査されるのは① 味/香り/見栄え ② 独創性とカクテルテクニック ③ サスティナブルな要素 ④ ストーリー性の4点です。

大会のレギュレーションとして、カクテルに使用できる材料(フロール・デ・カーニャ12年のほかに5つまで)は、フェアトレード認証を受けているもの/カーボンニュートラル認証を受けているもの/オーガニック/ナチュラル/地元の旬の食材/食品廃棄物を再利用しているもの/SDGs認証を受けた農家・生産者が生産しているものという条件の、どれかひとつをクリアしなくてはいけません。

2位の高橋さん(左)と3位の田中さん(右)。高橋さんは昨年から順位を1つあげての入賞です。

2位の高橋さん(左)と3位の田中さん(右)。高橋さんは昨年から順位を1つあげての入賞です。

幅広い視点で語られた、それぞれのサスティナブルなストーリー。

日本大会も3回目の開催とあって、それぞれがよく練り上げられたストーリーを掲げてコンペに臨んでいます。

特にフードロスの削減について正面から取り組んだカクテルが多く、そのストーリー性やカクテルへの取り入れ方を、審査員の草野さんも高く評価。

昨年はカクテルの汎用性、つまりグローバルファイナルが行われるニカラグアで再現できるのか、という点で難しい作品もありましたが、今年はそこもよく考えられていたようです。

ただ、フェアトレード認証食材を使いたいがためにフードマイレージへの視点が疎かになった作品もありました。

「(フェアトレード認証食材の使用はレギュレーションの一つではあるものの)その食材を調達するためにどのくらいのCO2が排出されるのか、地元や国産のものでは代替できないのか、これまでとは異なる視点で材料を考えてみると、また違ったカクテルができると思います」(草野さん)

また、ラムらしさ、あるいはフロール・デ・カーニャ12年の酒質を生かすという点で、やや物足りなさを感じたパフォーマンスもありました。

「ラムの酒質の特徴である甘味の後ろには、酸味があります。今年は特に酸味を強調したカクテルが多い印象を受けましたが、酸味の材料を加えることで酒質にある酸だけが際立ってしまうことがあります。
酸味を使う場合は注意していただきたいと思います」(海老沢さん)

「『どうしてフロール・デ・カーニャ12年を使うのか』という視点より、サスティナビリティのストーリーを強く打ち出したプレゼンがありました。
ストーリーはもちろん大切ですが、そうしたストーリーやディテールを、『フロール・デ・カーニャ12年でなければだめなんだ』というところに着地させられると、さらなる得点につなげられるのではないでしょうか」(安里さん)

トップ3のカクテル。大島さんの「Re:CANAlization」(上)、高橋さんの「Apothecola」(下段左)、田中さんの「Up-Remix」(下段右)。それぞれのカクテル詳細は、別記事でご紹介予定!

トップ3のカクテル。大島さんの「Re:CANAlization」(上)、高橋さんの「Apothecola」(下段左)、田中さんの「Up-Remix」(下段右)。それぞれのカクテル詳細は、別記事でご紹介予定!

続出するタイムオーバー!来年に生かしてほしい「時間厳守」。

審査員全員が課題として挙げたのは、「タイムオーバー」でした。

今年はタイムオーバーが続出。なんと、ファイナリストの半数以上にあたる6名がタイムオーバーしており、最大2分の超過!大幅な減点を課されてしまいました。

「いかに点数を積み上げていくかを競うコンペで、減点をくらうのは痛い」と一同。とくに1点を競うグローバルファイナルで、タイムオーバーは致命的です。

「本番であがったり緊張することは織り込み済みで、それでもぜったいにタイムオーバーしないよう、練習を重ねるしかない」(安里さん)ということでした。


それでは、今年の上位3名を発表します。

3位は、バーテンダーとコーヒーロースター、二足の草鞋を履く田中知輝さん(THE SAILING BAR)。

世界で最も消費されるフルーツ、バナナの皮の廃棄量は年間350万トンにも及ぶというデータから、バナナの皮をアップサイクルするカクテルを考案しました。

バナナの皮とリンゴ酢でシュラブを作り、自家製カカオスパイス、ニカラグアの浅煎りコーヒーをイメージした自家製クランベリーサワー、営業で余ったスタウトビールとエスプレッソコーヒーを煮詰めたものとシェイク。

使用するグラスは、液色をきれいにみせる透明のシリコン製。透明ながらガラスよりも耐久性が高い材質を選びました。

審査員からは「シンプルなアプローチだが、素材の選定がよく考えられており、プレゼンテーションもわかりやすかった」というコメントがありました。

「普段の営業でも『身近なものをよりよくする、捨てるのではなくアップサイクルする』を意識して、フードロス削減に取り組んでいます。
今回は、フロール・デ・カーニャ12年の味わいにバナナのニュアンスがあることから、当たり前のように廃棄されてしまうバナナの皮にフィーチャーしてみました」(田中さん)

サスティナブルで大切なのは「大きな目標をもつより、自分の身の回りのことから小さく始めること」という田中さん。おめでとうございました!

入賞者による記念ショット。おめでとうございます!

入賞者による記念ショット。おめでとうございます!

審査員から高く評価された、1位&2位のゼロ・ウェイスト。

2位は、高橋大地さん(APOTHECA)。昨年の3位から一つ順位をあげての入賞です。

元肝臓移植外科の看護師(!!)の知識とバーテンダーとしての知見を生かし、古来、健康増進飲料として愛飲されてきたコーラ、ビターズ、そしてラムの本質に注目。

初めに、減圧蒸留機で自家製コーラシロップを作るのですが、蒸留水はアロマウォーターに、蒸留後のスパイスや柑橘類の皮はフロール・デ・カーニャにつけてビターズに仕立て、さらにその残さを乾燥させてフレーク状にし、ガーニッシュとして再利用。

一切の廃棄物を出さない、ゼロウェイスト・ラムコークを披露しました。
シンプルだからこそわかりやすいストーリーで、このアプローチは草野さんも高く評価していました。

「昨年は硬い印象のプレゼンになってしまったので、今年のパフォーマンスは陽気さ、明るさ、ラテンっぽさを意識して。下手なギャグまで入れてみました(笑)。
素材についても、『世界のどこでも調達できる、たとえ空港で没収されてもリカバリーできる』という視点を忘れずに選びました。

実は、最後まで悩んだのが提供するカクテルの温度帯でした。審査員の方から同じ指摘をいただいたこともあり、自らの詰めの甘さを反省しました。
もっとシビアに突き詰めたレシピで、来年、また挑戦したいと思います」(高橋さん)

1位に輝いたのは大島創さん(Gold Bar at EDITION)。

カクテルは「Re:CANAlization (リ・カーニャライゼーション)」。閉じていた血管が再び開くという意味の医療用語「recanalization」をもじった、「ゾンビー」のツイストカクテルです。

静岡県三島市出身の大島さんは、故郷にゆかりの深い富士山とニカラグアのサンクリストバル山へのオマージュとして、熱した溶岩を使う「パチャマンカ」という調理法を取り入れました。

カクテルの材料は、バナナの皮にアボカドの種、りんごの芯など。いずれも営業で出る廃棄物です。

これらを、熱した溶岩を使ってじっくり加熱しコーディアルやシュラブ、シロップを作ります。残さはミキサーにかけた後、ディハイドレーターで乾燥させ、ガーニッシュに。

氷の代わりに冷やしたアボカドの種を使うというユニークなアイデアも光っていました。

「このプレゼンテーションで目指したのは、自分の身近にあるサスティナブルを陽気に、楽しく表現しよう、ということでした。
余計なエネルギーも時間もコストも食材も費やさず、身の回りにある廃棄食材を再利用することにしました。ゼロウェイストになるし買いに行く手間も省けます。サスティナブルなカクテルを作るがために無駄なエネルギーや食材を使ってしまったら、本末転倒ですから」(大島さん)

大会前の1ヶ月をプレゼンの準備に当てたという大島さん。来るアジア太平洋大会ではさらにプレゼンの精度を高め、本質的なストーリーを練り上げていきたいと抱負を語ってくれました。

次戦の舞台は中国!10月のアジア太平洋大会でのパフォーマンスに乞うご期待!

入賞したカクテルの詳細は、vol2でレポートします。お楽しみに!


★フロール・デ・カーニャ公式HP(日本語)
https://flordecana.jp/

★お問い合わせ
アイデイ商事株式会社
TEL:06-6344-0003
www.id-shoji.com

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会場で振る舞われたのは、フロール・デ・カーニャ12年のソーダ割り。

会場で振る舞われたのは、フロール・デ・カーニャ12年のソーダ割り。

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