
SPECIAL FEATURE特別取材
コニャックの歴史と伝統から生まれた
ラグジュアリー・フレンチウイスキーの新境地!
「ALFRED GIRAUD アルフレッド・ジロー」
#Special Feature
文:記事 : Sayuri Tsuji 写真:Teppei Daido
長年コニャック造りに携わってきたジロー家の5代目が、コニャックの技術を存分に発揮して造ったラグジュアリーフレンチウイスキー「ALFRED GIRAUD(アルフレッド・ジロー)」が4月に日本初上陸。来日したCOO、ルイ・シェニョー(Louis Chaignaud)氏に話を聞くと共に、4人のトップバーテンダーに試飲してもらった。
「ALFRED GIRAUD」COO、ルイ・シェニョー(Louis Chaignaud)さん。
コニャックの技術を知り尽くしたファミリーが設立
フレンチウイスキーを飲んでみたことがあるだろうか? 実はフランスは世界有数のウイスキー消費国で、一人当たりの消費量は世界一。それなのに、自国で造られたウイスキーは国外ではあまり知られていない。
そんな中、コニャック造りの歴史と技術を生かしたラグジュアリーフレンチウイスキーという新境地を開き、「ALFRED GIRAUD」を創設したのが、100年以上にわたってレミーマルタンでコニャック造りに携わってきたジロー家の5代目、フィリップ・ジローだ。
フィリップ氏の片腕であり、自身もコニャックの造りの家系につながるCOO、ルイ・シェニョー氏は、このウイスキーの魅力を伝えるべく世界中を巡っている。
「もともとジロー家はコニャックの樽職人の家系でした。1910年からレミーマルタンの製造に関わるようになり、2代目のアルフレッド・ジローがセラーマスターに。さらにその称号は息子に引き継がれました。いわばコニャック造りを知り尽くしたとも言える一家の5代目となるフィリップが、世界に誇れるフレンチウイスキーを目指し、2代目の名を冠したのが『ALFRED GIRAUD』です」
65年以上のコニャックカスクを使用したリミテッドエディション「UNE ODYSSEE(長旅)」はラグジュアリーなボックス入り。
こだわりの原料と、特徴的な樽と加水の技術
原料となる麦芽はすべてフランスの契約農家から仕入れたものを使用し、銅製のポットスチルを使った自社の「サンパレ蒸留所」で蒸留。さらに熟成に使う樽にもこだわりがある。
「私たちは樽出しされた直後の樽をそのまま使っています。たとえばコニャックを入れていた樽であれば、液体を抜いた直後、まだコニャックの香りと湿り気を帯びている24時間以内にウイスキーの原液を入れます。そこが他のウイスキーとの大きな違いです」
もう一つ、このウィスキーの大きな特徴が加水の方法だ。
「コニャックと同じく、毎年少しずつ加水して徐々にアルコール度数を下げる手法をとっています。70%の原液を樽に入れたらいったん樽から液体を出して空気に触れさせ、全体の2%程度の水を加えてもう一度樽に戻す。その作業を毎年行って理想とする度数まで下げていきます。一気に加水するほうが簡単ですが、そうすると分子構造が一度に変わってしまい味のバランスが崩れるのです」
ボトルは1900年代にジロー家が所有していたコニャックのボトルからインスピレーションを得て造ったバカラスタイル。
「ボトルの下の部分を見てもらえばわかるように、オールドファッションのグラスの形をしています。テーブルにこのボトルを置いて、シガーと共に楽しむ姿は、いわゆるフランスのエレガンスに通じるものがあると思います」
時代をリードする4人のバーテンダーが3種の試飲にトライ
今回日本で発売される商品は、3種類。ブランド初のシングルモルトウイスキーで14種類のカスクを使用している「HORIZON」、絶妙のバランスを誇る数量限定ウイスキー「HERITAGE」、ほんのりと軽くピートの薫る「HARMONIE」。いずれも熟成中に、XO以上のコニャック樽が使用されている。
4人のバーテンダーに試飲セミナーに参加していただき、感想を伺ってみた。
門間輝典さん(品川プリンスホテル、左)と伊藤学さん(MIXOLOGY HERITAGE、右)
●伊藤学さん(MIXOLOGY HERITAGE)
「まず、このウイスキーがコニャックのように少しずつ加水して手間をかけていることを知って感動しました。まさにコニャックの歴史を踏襲したフランスのウイスキーならではの造り方だと思います。
熟成にもコニャック樽を使用しているからか、麦が中心にありながら、余韻にはコニャックのぶどうの美しさを感じます。樽の選定とぶどうの香りの重ね方が素晴らしいですね。ウイスキーというジャンルを超えた『ぶどうの果実薫る麦の酒』という感じ。だから、フレンチをはじめ、料理と合わないわけがない。
青い麦のイメージの『HORIZON』は、試飲会に添えてあったオリーブととてもよく合いました。『HERITAGE』はピノノワールの横にちょっと添えて料理と一緒に味わったり、ソーテルヌの上にトップフロートで少し載せるのも良さそうです。『HARMONIE』は魚料理にも合いそうで、葉巻を喫いたくなりました。
飲んで食べる農業大国、フランスのことがよくわかるウイスキーだと思います。コニャックとワイン、フランスという国をよく理解しているお客様に勧めたいですね」
●門間輝典さん(品川プリンスホテル)
「フレンチウイスキーの印象は今まで繊細でエレガントながら主張があまりないと感じておりました。このウィスキーはまだ若いにもかかわらず、熟成感をしっかりと感じます。コニャックの加水技術を生かして、一気に加水しない手法をとっているのがおもしろいですね。アルコールの甘味とのバランスには、コニャックの歴史に培われたブレンド技術の匠もあるのだと思います。
3種類どれも特徴があっておもしろいと思いましたが、個人的には『HERITAGE』が気に入りました。
今は多くのカスクを使ってブレンドしていますが、将来、シングルカスクを出すこともあるのか、それとも『ALFRED GIRAUD』のブレンド技術を一貫して踏襲していくのか、これから注目していきたいウイスキーです」
大竹学さん(パレスホテル東京、左)と鎌田真理さん(ザ・ペニンシュラ東京、右)
●大竹学さん(パレスホテル東京)
「正直、これまでフレンチウイスキーを飲んだことがなかったので、ここまでクォリティが高いとは思いませんでした。熟成の段階で少しずつアルコール度数を下げていくコニャックのやり方を、ここに取り入れてきたか!という感じ。熟成しながら段階的に度数を下げていくからか、角が取れて柔らかい味になっています。
特に『HERITAGE』は、ブランデーかと思うほど柔らかい香りですが、飲んでみると甘さの中にしっかりとウイスキーらしさが感じられる。これまでにないウイスキーのスタイルでとても良かったですね。バーで使ってみたいと感じました。
あと、ボトルのデザインが素敵です。下の部分がオールドファッショングラスの形をしていて目を引く。こういうウイスキーボトルってなかなかないですよね」
●鎌田真理さん(ザ・ペニンシュラ東京)
「フランスのウイスキーはそんなに普及していませんが、少なくともこれまでいただいたことがあるウイスキーとは全く別物という新しい発見がありました。
特に熟成については皆さんおっしゃっていますが、コニャックの技術を生かした加水の仕方に驚きました。コニャックとウィスキーのいいところ取りというか、ウイスキーだけど新しい立ち位置のお酒。度数が高いのに、これだけ柔らかくて繊細な味を出せるは、この熟成方法がポイントになっていると思います。
モルトウイスキーを召し上がる方って、味わいがはっきりしたものを好まれるのですが、このウイスキーはとても繊細なので、どちらかといえばブレンデッドウィスキーを召し上がっている方をターゲットにしている気がします。クセがなくて寄り添う感じなので、何かつまみながら召し上がるのにもいいのではないでしょうか」
ルイさんからドリプラ読者への一言
「日本への旅立ちをやっと始められることをうれしく思っています。ウイスキー造りという意味では、フランスはニューワールドという位置づけですが、このウイスキーはフランスのベストウイスキーだと自負しています。バーテンダーの皆さんは何か新しいものを発見することに長けた方たちだと思うので、ぜひこの新しいウィスキーの魅力を見つけていただき、その発見をお客様に届けていただきたいなと思っています」
公式ウェブサイト
https://www.alfredgiraudwhisky.comp
お問い合わせ先
株式会社Sincere
https://kk-sincere.com
- 1