
SPECIAL FEATURE特別取材
海外バーテンダーが魅了された「iichiko彩天」
フレーバーが織りなす魅力とは?
[vol.01] -
アダム・バーシックさん「Origin Bar」
#Special Feature
文:Drink Planet編集部 写真:Teppei Daido
近頃、海外のバーメニューで目にする機会が増えた”SHOCHUカクテル”という新たなカテゴリー。そのムーブメントに欠かせないのが、海外限定発売の「iichiko彩天」。「iichiko彩天」は海外のバーテンダーたちにどのようなインスピレーションを与えているのでしょうか?シャングリ・ラ ホテル シンガポール「Origin Bar」のアダム・バーシックさんに、とっておきのSHOCHUカクテルを披露してもらいました。
「Origin Bar」のアダム・バーシック(Adam Bursik)さん。
Asia's 50 Best Bars に名を連ねる、あのバーから……
近年、海外のバーシーンで注目が高まっているSHOCHUカクテル。
そうした需要の高まりを見据え、いち早く海外市場に躍り出たのが本格麦焼酎いいちこでした。
2019年にアメリカ限定でリリースした「iichiko彩天」は高く評価され、オーストラリアとシンガポールに上陸を果たし、いまやカクテル・ベースのスピリッツとして新たなカテゴリーを築きつつあります。
そんな「iichiko彩天」を海外のバーテンダーはどう料理するのでしょうか?
今回は、「Bar BenFiddich別館」でのゲストシフトのために来日した「Origin Bar」のアダム・バーシックさんのカクテルをご紹介しましょう。
スロバキア出身のアダムさんは故郷でヘッドバーテンダー兼バーマネージャーとして名を上げ、10年前にシンガポールへ。
Asia's 50 Best Barsにランクインしている「Nutmeg & Clove」や「The Library」を手掛けた後、「シャングリ・ラ ホテル シンガポール」内に「Origin Bar」を開店しました。
今回のカクテルのために用意された「iichiko彩天」と「TUMUGI」。
数年で様変わりしたSHOCHUカクテルシーン
「僕がシンガポールに移ってきた当日は、SHOCHUはインターナショナルなバーでも知られておらず、現地の日本人がオーダーするくらいでした。
和を意識したカクテルメニューを作るにあたり、SHOCHUをリサーチしていたときに見つけたのが、『iichiko彩天』。
決して悪い意味ではなく、『変わったスピリッツだな』という第一印象をもちました。
というのも、僕の故郷・スロバキアも含め、ヨーロッパのスピリッツはクリーンさこそがハイクオリティの証しだとされていて、蒸留プロセスでは穀物のフレーバーが失われるのが一般的です。
ところが、『iichiko彩天』には大麦ならではの味わい、香りが生きている。
それだけでなく、その穀物らしいフレーバーに麹由来の旨味やフルーティなアロマが複雑なレイヤーを織り成します。
その豊かさ、複雑さにびっくりしました」
アダムさんが作りたいと思ったカクテルに、完璧にマッチするという「iichiko彩天」。
今回のゲストシフトでは、「iichiko彩天」を使ったカクテルを2種、さらに「TUMUGI」を使ったカクテル2種を披露してくれました。
カクテル「METALICO」。
何層ものフレーバーを引き立てる、“Far-Fetched”なカクテル
ひとつめのカクテルは「METALICO」。
プルーンとフレッシュプラム、イチジクをインフューズドした「iichiko彩天」に梅酒、クレーム・ド・ペッシェを合わせてステア。
カルダモンを適量加え、スパイスのニュアンスも加えます。
「これは磁石にインスピレーションを求めたカクテルで、高濃度の鉄分を含む食材で構成しています。ね、“Far-Fetched(ありそうもない)”でしょ(笑)?
飲み口はとてもドライですが、『iichiko彩天』の豊かな穀物の風味と複雑なフルーツのニュアンスのハーモニーが絶品です」
2つめは「ANTS & BEES」。「iichiko彩天」の”穀物感”を強調したカクテルです。
「このカクテルでは2種類のハチミツ使います。
一つは酸味のあるマレーシア産トリゴナハニー(別名Stingless Honey)、もうひとつはアマゾンのハチミツ。
これを合わせたものに火を入れてキャラメライズし、バニラをインフューズド。
そこに、レモンジュースの代わりにヴェルジュ(熟していないブドウのジュース)と『iichiko彩天』を加えてステアします」
ガーニッシュに添えたのは、アマゾニアカカオ64%の自家製チョコレート。
「このチョコレートには食用のレモン風味のアリを粉砕して加えており、酸味がいいアクセントになっています。
カクテルのバニラキャラメルの風味とチョコレートの酸味がマッチして、とても風味豊かなんですよ」
カクテル「ANTS & BEES」。
見た目と味わいが一致しない、ユニークなカクテルも
一方、「TUMUGI」を使ったカクテルとして紹介してくれたのは、アイスクリームでお馴染みの要素をカクテルに再構築したという「EYES SCREAM」。
「イチゴ、ホワイトチョコ、バニラを使い、『TUMUGI』をミルクスタイルのカクテルに仕立てました。
イチゴのフルーティさとチョコレートのクリーミーさが、一杯のなかにうまく調和しています。
ベーススピリッツを『iichiko彩天』に変えてもOK。すると、もっとクリーンな味わいになります」
最後のカクテルは、「TUMUGI」を使った「ART BUT NO LATTE」。その名の通り、ラテアートに着想を得たカクテルです。
「これも普通ではありそうにない(Far-Fetched)アイデアから生まれたカクテルで、見た目はコーヒーカクテルのようですが、実際にはコーヒーは使っていません。
材料はシリアル、ブルーベリー、ブラックベリーと、パンケーキに使われる食材で、いわば“朝食の定番”のカクテル版といったところ。
ベースの『TUMUGI』とピノ・デ・シャラント(ブドウジュースとコニャックからできている食前酒)を合わせてシェイクしたサワースタイルのカクテルです。
グラスに注いだら、カクテルの表面にラテアートを思わせる食用プリントを浮かべます。
見た目はコーヒーそのものなのに、口をつけてみるとコーヒーの味はしない。
ビジュアルを裏切るという意味でもユニークな体験を提供できていると思っています」
ゲストシフトを行った「Bar BenFiddich別館」にて、鹿山さん、アダムさん、「Origin Bar」中田亜希さん。
フレーバープロファイルに着目せよ!
今回のカクテルを振り返り、アダムさんに「iichiko彩天」をカクテルに取り入れるコツもお話いただきました。
「カクテルメイキングで注目すべきは、『iichiko彩天』のフレーバープロファイルだと思います。
スピリッツのフレーバーそのものに着目し、他のフレーバーとどのようなコンビネーションを作り出すかを念頭に、合わせる食材を選んでいますが、はっきりした大麦のフレーバーを備えるこのSHOCHUは、とてもカクテル向きだと感じます」
今回のゲストシフトでは日本のさまざまな農作物を試したそうで、あらためて日本の食材の豊かさに圧倒されたというアダムさん。
とりわけ、甘味のバリエーションの豊富さに魅了されたそうです。
「世界のどこにもこれだけ多彩な甘味はないでしょう。
シンガポールにもハイクオリティ&ハイデマンドの食材はありますが、日本の旬の食材を試せることにワクワクしました。
もちろん、『iichiko彩天』はさまざまなフルーツ、ハーブにマッチしましたよ」
今回のゲストシフトの立役者である「Bar BenFiddich」の鹿山博康さんにも、「iichiko彩天」の印象について伺いました。
「アルコール度数が43%ある『iichiko彩天』はカクテル向きのスピリッツ。
もともとアルコール度数が高く、コシの強い焼酎が出てくるのを待っていたので、これがローンチされたときは『ついに!』という感じでした」
日本で発売されたら「ぜひ、使いたい」という鹿山さん、海外のゲストシフトではすでに取り入れているそうで、ローストした麦のフレーバーにマッチするココナッツウォーターとナッティなリキュールの組み合わせで提供することが多いとか。
今後ますます海外需要が高まりそうなSHOCHUカクテル、そして焼酎の可能性についても伺いました。
「ヨーロッパでは焼酎と(韓国の)ソジュの違いをわかっていない人も少なくないので、焼酎はまだまだこれから。その分、可能性は無限に広がっていえると感じます。
こういうアルコール感、フレーバーは、海外のバーでも親しんでもらえるのではないでしょうか」(鹿山)
「いいちこは、特にアジアにおけるバー業界に多くのサポートを行っているブランドで、バー業界で強固なコミュニティを築こうとしているのを感じます。
『iichiko彩天』を通じてその一員でいられるとしたら、僕にとっても光栄なことですね」(アダム)
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